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ロードス島戦記・英雄の仲間達5 (二次創作)

 盗賊ギルドにやってきた四人はフォースの協力を得て、該当する人間の情報を集めていった。
 旧マスターの派閥で、なおかつここ数ヶ月以内に釈放されたという条件に当てはまる人間は三人しかいなかった。そこから目撃情報や近頃の動向から絞っていくと、ランクスという男が残った。
「事件に前後して、この男を見たという証言がある。まず、犯人と思って間違いないだろう」
 それからフォースはランクスの似顔絵を持ってくるように部下に指示する。
「事件って?」
「子供の誘拐だ。ここ連続で三人」
「それって・・・」
 ウッド・チャックから杖の開放方法を聞いていた一行は顔を見合わせた。
 スレインにはこのランクスという男が視野狭窄に陥っているように思えた。牢に入っていた長い時間、そして偉大な計画に携わっているという安心感、それをなくした喪失感。理不尽なことに対する怒り。そういった物が混じって、復讐という行為に走ったのだろう。
 それは復讐がしたいというよりも、無理にでもすべきことを求めた結果のように思えた。
 そして、少しづつ冷静になって行ってるように見える。あるいは、迷いがあるのか。わざわざ日数をかけて誘拐しているというのは、迷いがある証拠だと思えた。そもそも、杖と契約を結ぶだけなら誘拐する必要はない。
「どうする?その男を取り押さえるか?」
「力で挑むのはまずいでしょう、下手に追い詰めれば見境が無くなるかもしれません。ここは、誰かが説得に行くべきでしょうね」
 しばらくの間視線が交錯し、最後にスレインに集まる。
「私には無理ですよ。それよりもっと適切な人がいますよ」
 次の瞬間、その場にいた全員がウッド・チャックへと顔を向けた。
「ウッド、あなたです」
「オレが?」
 ウッドは怪訝そうに眉をひそめた。
「本当は最初からそのつもりだったんじゃないですか?わざわざあの遺跡を調べていた事からして」
 ウッドはそれには答えなかった。
「そうだな、オレもこれはウッドが適任だと思うよ。頼めるか?」 パーンがスレインに追随する。
 ディードリッドとフォースは無言だったが、パーンの言葉に同意しているようだった。
 ウッドはあさっての方を向いた後、
「けっ。言っておくが、説得じゃなくてちょいと話をしてくるだけだからな。失敗したときの準備はしておけよ」



 新鮮な子供の生き血を六人分杖に吸わせること。それが契約の条件だった。そして、杖と契約を結べば上位魔神級の肉体的な強さと魔法の力が手に入るのだ。
 契約を結ばずとも、杖をもってさえ入ればある程度の魔法を使うことが出来る。だが、復讐に使うには不十分だった。
 それゆえに、ランクスは杖の魔力を使い五人の子供を次々と誘拐した。そして、ついに今六人目に到達しようとしていた。
 今日のターゲットは7歳ぐらいの子供、時間は夜。家路へと急ぐ子供に向かい、スリープクラウドの魔法を唱える。子供は抵抗する間もなく、あっさりと眠りに落ちる。
「これで、ようやく復讐へとうつることが出来る」
 ランクスはぼそりとつぶやいた。
 しかし、本当にいいのだろうか。
 牢を出てからさらに時がたち、ランクスは冷静になっていた。ギルドへの復讐、そんなことに意味があるのだろうか。
 ランクスは手の中の子供を見やる。この子を犠牲にしてまで、復讐を遂げることに意味があるのだろうか。
「復讐ねぇ」
 唐突に、ランクスの背後から声がかかった。
「誰だ?」
「おっと、驚かせたんならあやまるぜぇ」
 闇の中から現れたのは、ウッド・チャックだった。
 ウッドはおどけるような仕草をした後、
「まあそう警戒しなさんな。オレは別におめぇを止めにきたわけじゃないんでな」
 敵意がないことをしめすようにランクスに向かって、軽く手をふって見せた。
 ランクスは右手の杖を強く握った。途端、背後に魔神の幻影が現れる。契約をしなくても、この杖を使えばある程度のことは出来る。ランクスは身構えたまま尋ねる。
「止めるわけじゃないなら、あんたは何しに来たんだ?」
「なぁに、おめぇがどういうつもりでそれを使うのかと思ってな」
 ランクスはあたりを警戒する。気配を探ってみるが、他の気配は見当たらなかった。多少緊張を弱めたランクスは目の前の男をじっくり観察して見る。
 気配を感じ取れなかったことから考えれば、おそらく相手も盗賊だろう、しかも自分より格上の。ギルドからの追っ手だろうか。しかし、そうだとしたら暢気に話しかけるなんてことはしないだろう。
「聞いてどうする?」
「聞いた内容にもよるな」
 ランクスはしばし迷ったが、自分でも気がつかぬうちに話始めていた。
「まあ、いい。復讐のためだ。俺を閉じ込めた盗賊ギルドと、俺を見捨てた仲間達へのな」
 そして、自分におきた事の次第を語った。見知らぬ男にこんな話をするのは自分でも不思議だった。もしかしたら彼自身、本当は誰かに聞かせたかったのかもしれない。信じていた夢が破れ、牢から出れば仲間はもう誰もいない。
「そうかい」
 ウッドは話を聞き終えると、ただそれだけを言った。その声には同情の響きも否定の響きも含まれていなかった。
「もう一つ、聞くぜ。それは自分を捨ててでも成し遂げたいことか?」
「どういう意味だ?」
「ひとつ忠告しといてやるぜぇ。その杖と契約をすれば、おめぇの身体は魔神に乗っ取られる」
 ランクスはウッドの言葉に激しく動揺した。
「嘘だ。あの女はそんな事いってなかったぞ」
「真実を全て話したわけじゃないってぇことだ。あの女がよく使ってた手口だぜぇ」
 ランクスの心にさらに迷いが生じる。
 ランクスの葛藤をよそに、ウッドは話を続けた。
「魔神に身体を乗っ取られると、死ぬまで何もできなくなる。ただ外の光景を見続けるだけだ。下手したら何十年もな」
 ランクスは、ウッド・チャックの言葉に奇妙な重みを感じていた。まるで自分が体験してきたことを語っているような、経験した人間だけが発せられる重みだ。
 しばらく二人はにらみあっていたが、ウッドチャックが肩をすくめて、おどけたようなポーズをとると、緊張していた場の空気が和らいだ。
「迷うようなら止めといたほうがいいと思うけどな。まあ、信じるも信じないもおめぇしだいだ。最初に言ったとおりオレは別に止めに来たわけじゃねぇからな」
 そういうとウッドは背を向けて、歩き始めた。
「待ってくれ」
 背後からの声にウッドの動きが止まる。
「一つ聞きたいことがる。もし、あんたが俺の立場だったらどうする?」
 もしかしたら、この男なら自分の気持ちを分かってくれるのではないだろうか。
 ランクスは直感的にそう考えた。
 そして、その男がどんな答えを出すのか、聞いてみたい。そう思った。
「昔のオレなら使ってたな」
「自分を捨てでも?」
「そうさ」
 ウッドはうなずく。
「だが、今のオレなら使わねぇ」
「その差は?」
「色んな連中を見て来たからだ。最初はたいした力もなかったのに、英雄と呼ばれるまでに到った連中を。そいつらは別に特別な力を持っていたわけじゃあねぇ。馬鹿な仲間を救いてぇ、目の前の人間を助けてぇ。そんな風に自分が信じることのために、ただひたすら努力してがむしゃらに進んできた連中だ。しかも十数年かけてまで、それらを成し遂げやがった。まったくご苦労な連中だぜ」
 ウッド・チャックの話を聞きながら、ランクスは考えていた。もし、逆の立場であったら、自分はかつての仲間を助けるために、何年もかけていただろうか。
「そんなやつらをずっと見てきた。そして、こう思うときがある、もしあの時の行動がなければ、オレもあいつらと同じところにいたのかもしれねぇ」
 もちろん後悔はしてないけどな、と続けた。
 ランクスは何も言わなかった。結局、自分達は本当の仲間ではなかったという事だ。
「くだらねぇ話をきかせちまったな」
 ウッドは照れ隠しをするように、あさっての方を向きながら頭を手でがりがりと掻いた。
「なあ俺にもそんな仲間が見つかると思うか?」
「さあな。ただ、そいつを使っちまったら見つからねぇのは確かだな」
 ウッドは再びきびすを返し、ランクスに背を向けて歩き始めた。が、三歩ほど進んだ所で一旦止まり、
「ああ、そういやオレがあいつらと出会ったのはちょうどおめぇぐらいの時だったな」
 そして、背後に軽く手を振った。
「あばよ」
 ランクスは男が闇の中に消えていくのをじっと見守った。気配は完全に途絶える。どうやら実力で止めるつもりは本当にないらしい。
 だが、ランクスは急に復讐する気が失せてきていた。そんなことをして何になるというのか。いや、本当は初めからわかっていた。ただ、自分が何をしていいのか分からなかっただけだ。
「仲間か・・・」
 冒険者にでもなるか。
 平和になったとはいえ、ロードス各地に危険な場所があることには変わりはない。冒険者になって、各地を巡り、真に仲間と呼べる者を探すのもいいかもしれない。
「だが、その前に。自分の始末は自分でつけなきゃな」
 後ろに寝かせてある子供を見て、ランクスは苦笑を浮かべた。

(続く)


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